ゴーンガール
「ゴーンガール」2014年公開、感想ネタバレあり。一番身近な他人である夫婦とは一体何なのか?あなたは相手の本当の素顔を知っているだろうか?
監督:デヴィッド・フィンチャー
登場人物:夫のニック・ダン=ベン・アフレック
ニックの妻エイミーエリオット・ダン=ロザムンド・パイク
エイミーの元彼、デジー・コリングス =ニール・パトリック・ハリス
ニックの妹、マーゴ・ダン - キャリー・クーン
ストーリー
結婚5周年目に、ニックの妻エイミーが失踪する。作家として活躍するエイミーの失踪とあって、メディアは大々的に取り上げる。ニックは短大で講師を務めながら、妹のマーゴと「ザ・バー」という名前のバーを共同経営している。世間からみれば理想の夫婦。エイミーは一体どこに行ってしまったのか?
しかし、夫ニックの身辺調査を警察が始めると、理想の夫とは程遠い事情が分かってくる。実際にはほぼ無職の状態で、自宅、バーの名義もエイミーとなっており、元教え子との浮気も発覚、大衆はニックが妻エイミーを殺害したのではないか?と疑い始める。
このストーリーは実際に起きた事件、スコット・ピーターソン事件を元に作られている。スコット・ピーターソン事件は夫スコットが妊娠8か月の妻レイシーを殺害するといった痛ましい事件。サンディエゴの実業家の息子である夫スコットとレストランを開くほどの料理の腕前をもった妻レイシー。誰もが羨ましがる理想の夫婦であったが、この裁判を通して、完璧な夫婦の闇を垣間見ることになる。
夫ニックは、妻エイミーを殺害したのだろうか?
エイミーは死んでいなかった。仕事もろくにせず体たらくな夫、経済的な力のない夫、自分より遥かに年下の若い女との浮気する夫。失望と裏切り続けた夫ニックへの復讐は妻エイミー殺害の罪を被せる事だった。用意周到に妻殺害容疑を被せるべく淡々と行動を起こすエイミーの姿は恐怖を覚える。
金銭的に困ってきたエイミーは、元彼のコリングスを頼る。自分が生存している事が世間に分かってしまえば、全ての計画が台無しになってしまう。嫌悪感さえもっているコリングスではあるが計画の為には彼を利用する。しかし、メディアの前で「愛しい妻エイミー、僕の元に戻ってきて欲しい」と訴えかけるとエイミーの中で何かが変わる。ニックの願いを叶えるために、彼のもとに帰る。そうするとコリングスを最後利用する必要があった。性的暴行を受けた際の正当防衛でコリングスを殺害と見せかける。悲劇の妻になりきった。
コリングスに誘拐され、性的暴行を受けた悲劇の妻エイミーは、夫ニックの元に戻ってきた。エイミーの言葉を信じるメディア。警察も、弁護士もメディアがこれだけ注目すれば危険は去ったと見切る。ニックにとってエイミーは恐怖でしかなかった。しかし、ニックが以前不妊治療で提供していた精子を破棄していなかったエイミーは妊娠する。覚悟を決めるニックは、メディアの前で3人で再出発することを誓う。
感想
恋人の時は、ニックもエイミーも自分自身を演じ、演じている相手に好かれようと必死に自分を演じる。そして、結婚とは最も近い他人である夫婦をそれぞれが演じていくことに他ならない。冒頭シーンで、ニックとマーゴが「マスターマインド」というゲームで遊び、途中、「人生ゲーム」も出てくるシーンは、何かを暗示しているようだ。「結婚」とは、お互いが同じ願望、目標に向かってお互いを演じる人生ゲームのようなもの。他人は本当に理解することは難しいから。